スカクリブログJAPAN バックナンバー

みなさん、こんにちは。スカイクリエーションの伊藤です。

 

今日は「エンジンスタートと暖気運転」です。

」マークはヘリコプターを外から見ている人からの視点です。

 

ヘリコプターのエンジンには大きくわけて、2種類あります。

1つはジェット旅客機等と同じ種類のタービンエンジン。大きい機体はほぼこちら。

2つめはピストンエンジンと言って車のエンジンと同じ方式。

ライセンスも日本では大きくわけて2種類に分かれています。

 

今回はR22(ピストンエンジン)のエンジン始動!

エンジンスタートと言っても車と同じように鍵をまわせばエンジンはかかります。車のエンジンをかけたことのある人なら(最近の車はボタン一つのもあるようですが、それは別ですよ。)誰でもかけることができると思います。

 

しかし、エンジンをかけてすぐに飛ぶことは出来ないのです。いや、飛ぶことが出来ると思いますが、パワーがない!とか、エンジンの寿命が短くなる!との理由から必ず暖気運転をおこないます。

 

では、エンジン始動です。


赤いスイッチ(マスタースイッチ)をオンにします。

このスイッチがヘリコプターすべての電源の元スイッチになります。

 

ストロボライトという赤色でチカチカと点滅しているライトのスイッチをオンにします。

このライトはローターが回っている間は危険防止の為、ずっとつけたままにします。

ヘリコプターを外から見ているとテールパイプの真ん中上部についているライトが点滅します。これがついている時は絶対にヘリコプターに近寄ってはいけません。急にエンジンがかかるかもしれないからです。

 

スロットルを全閉確認します。エンジンがかかった時にスロットルが開いていると一気にエンジンが吹いてしまい、エンジン故障につながるので確実に全閉にする必要があります。

 

ここで外を見て(特に後ろ側)人がいないか確認して「クリアー」と大きな声で周りに発声します。

 

クリアーを大きな声が聞こえます。

 

鍵をまわしてエンジン始動。ブロロォォォォン・・・。

 

車の始動と同じような始動音が聞こえ、エンジンが回り始めます。

 

スターターライトが消えたことを確認。(もしライトが消えなければスターターが作動し続けているということなのですぐにミクスチャーカットしてエンジンを止めます。)

 

エンジンの回転数をタコメーター(計器のブログ参照)で55%にします。

 

エンジンとローターをつなぐクラッチをつなぎます。同時にオルタネーター(発電機)のスイッチもオンにします。

 

クラッチをつないだら5秒以内にローターが動きだすかを確認します。(5秒以上だと必要以上にVベルトが緩んでいるか、クラッチアクチュエーターの不具合ということになります。)

 

ローターがゆっくりと回り始めます。

 

オイル圧力計を確認して30秒までに最低25PSIになっていなくてはならない。数字を覚える必要はなく計器の時の話でグリーンの範囲に入っていればOK。

 

無線機器やトランスポンダー等のスイッチを入れる。トランスポンダーはスタンバイ(暖気運転のような意味)にする。

 

ヘッドセットを装着する。乗客がいる場合はインカムの確認。

 

クラッチを入れてから徐々につながっていたクラッチが完全につながり、クラッチライトが消灯する。クラッチスイッチを入れてから100秒以内であること。

 

完全につながったらさらにエンジンの回転を上げ、75%に合わせる。そして、エンジンの暖気運転。

 

ローター回転が上がる。エンジンの音が高くなる。

 

エンジンシリンダーヘッドの温度計を見てグリーンのところまで温度上昇。オイル圧力、エンジンオイル温度も同時にグリーンの範囲であること。

 

マグネトーの確認。1つのシリンダーに2つのマグネトーがあります。(普通車は1つ)これは、たとえ1つが故障してももう一つがバックアップになるということと、より完全燃焼させるために2つあります。

キーシリンダーに[L]と[R]の位置がありそれぞれ片方づつを手動で切ってやり、エンジンが止まらなければ残りのマグネトーが切れていないということになる。LとRの両方を確認。

さらに、回転数も2秒で7%以上の低下がないかを確認する。

これで、すべてのマグネトー(4シリンダー×2本のマグネトー=8本)が正常であることがわかる。

 

エンジンの音が若干変化します。2秒が2回あります。

 

キャブヒートをオンにしてキャブヒートの温度計が上昇することを確認する。

 

ヘリコプターは飛んでいる時にエンジンが止まっても、ローターは止まることなく回り続けます。

ちょうど自転車のペダルを止めても車輪は回っているのと同じことなのですが、それの作用をするスプラグクラッチというところが正常に作動するかを確認する。

すなわち、エンジンを急にアイドル回転までおとしてやるとタコメーターの針の位置がR(ローター)とE(エンジン)で違う%を示す。もちろんエンジンの方が先に下がっていく。

 

外から見ていると急にエンジン音が低くなります。

 

ドアがちゃんと閉まっているか?シートベルトがちゃんとできているか?パイロットだけではなく乗客すべてのところを確認します。

 

MAPチャート(機長席の上にはってあるグラフ)を見て、使える最大パワーを割り出します。

 

トランスポンダーのスイッチをスタンバイからALTにする。

 

サイクリック、コレクティブのフリクションをオフにします。暖気運転中は不意に操縦系統が動いてしまわないようにある程度抵抗がかけられていて動きにくくなっています。これを解除します。

 

エンジン回転数をスロットル(コレクティブについています。)を開いて80%以上にします。するとガバナーが作動して回転数をグリーンアーク内104%に調整してくれます。

この時に手動で調整するのではなく、ガバナーがちゃんと作動するか確認する意味で自動に任せます。

 

暖気運転時以上にエンジンの音が高くなります。飛ぶ時と同じ回転数になります。

 

最後の確認です。

コレクティブを少し持ち上げてスロットルをゆっくりしぼります。回転数が97%になると低回転注意音がなり、注意灯がつきます。

ヘリコプターは回転が命ですので計器を見ていなくても低回転になると光と音で注意してくれます。

 

少しだけヘリコプターの吹き下ろしの風が吹いたかと思うと回転数が落ちる。エンジン音も少し低くなる。

 

ヘッドセットをしたままだと異音等があっても気づきにくいので右耳のみでもいいのでいったんずらしてドアを開けて異常音がないか聞き取る。

 

エンジン計器の3つすべてがグリーンアーク内にあることを確認。

回転計がグリーンアーク内104%で安定していることを確認。

すべての注意灯、警報灯が消灯していることの確認。

燃料計でちゃんと燃料があるか再確認。

キャブレター温度計がイエローアーク外にあることを確認。

周囲の安全を再確認。

 

さて、すべての準備が整いました。ついに離陸の瞬間です。

 

エンジンの音も高くなり、序所にダウンウォッシュという吹き下ろしの風が強くなってくる。

周りの人は帽子などとびそうなものはしっかり押さえてください。

 

今日はココまで・・・。

 

いよいよ次回は飛び立ちます。

 

次回の予定は 「ヘリコプター離陸から巡航飛行へ」です。

お楽しみに。