アメリカのパイロット事情を日本と比較【2025】

09.03.2025 | コラム

アメリカのパイロット 年収・キャリアパス・採用

みなさま、こんにちは。
スカイクリエーション広報部のREIRAです。

まずは、ご存じの方も多いかと思いますが、私たちスカイクリエーションは、アメリカ・ロサンゼルスに本拠を構えるフライトスクールです。そのため、アメリカでエアラインパイロットを目指す皆さまを直接サポートすることができます。

一方で、スカクリの卒業生の多くは日本の航空会社に就職しています。
しかし最近では、アメリカでパイロットを目指す方も増えてきました。

ただ、「アメリカでパイロットになる」という選択肢は難易度が高いというイメージがありませんか?

しかし実際には、スカクリの卒業生の中には、アメリカの航空会社に就職し、現役パイロットとして活躍されている方もいます。

そこで今回は、アメリカに拠点を置くフライトスクールとしての視点から、「アメリカでパイロットになる」というキャリアの現実について、できるだけリアルな情報をお届けしていきます。

特にみなさんが気になるであろう3つのトピックにフォーカスしています。
1:採用の機会 2:キャリアパス 3:給料の違い

もしかすると、印象が変わるきっかけになるかもしれません。では、見ていきましょう!

01 採用の機会を日米で比較

採用の機会が多いのはどちらでしょうか。
日米の乗客数と航空会社数とパイロット需要
結論は、アメリカの方が多いと言えるかもしれません。
ただし、日本でもパイロット不足が問題となっており、引く手数多な状況です。
確かにチャンスの数ではアメリカが上回りますが、日本においてもパイロット需要は高く、十分に採用のチャンスはあります。

では、細かく見ていきましょう。

乗客数を日米で比較

アメリカは「航空大国」と呼ばれていますよね。下の図を見ると、2023年時点で乗客数は世界1位にランクイン。一方日本は、世界第7位です。
また同統計によると、2052年頃になると中国がアメリカを追い抜き、日本は第9位になると推測されています。インドネシアの急上昇も見込まれていますね。

Infographic: The Countries With the Most Airline Passenger | Statista You will find more infographics at Statista

航空会社数を日米で比較

次に、アメリカと日本の航空会社の数を見てみましょう。

アメリカには、56の航空会社が存在します(2025年時点)。
そのうち、主要航空会社は19社で、中小航空会社は37社です。
※大手航空会社の定義は、1年間の収益が1億ドル以上と定められている。

日本には、25の航空会社が存在しています。
お馴染みの通り、JALやANAやスカイマークを始め、その傘下にある航空会社や、独立した航空会社もあります。

今後のパイロット需要を比較

さらに、これからのパイロット需要を世界で比べてみましょう。
ボーイングが2025年に公開した見通しによると、今後20年間で必要な事業用操縦士(Commercial Pilot)の数は世界でおよそ66万人に及ぶとされています。さらに地域別で見ていくと、北アメリカ全体ではおよそ119,000人、東アジア全体ではおよそ23,000人の事業用操縦士が必要です。アメリカ全体のパイロット需要は東アジアの5倍にもなり、その規模の違いが伺えます。

今後20年間で必要な事業用操縦士数

ザ・ボーイング・カンパニー, 2025 Pilot and Technician Outookより引用

以上を採用の「機会」という視点で見ると、アメリカの方が多いと言えるかもしれません。
さらに将来の見通しも含めると、アメリカでのパイロットの需要は比較的高いと言えます。

02 キャリアパスを日米で比較

キャリアパスを知ることは、これからの人生設計を考える上でとても大切です。
これからパイロットを目指す皆様には、ぜひご参考いただければと思います。

今回は分かりやすくするため、架空の人物を用いてエアラインパイロットとしてのキャリアパスをご紹介します。
登場人物は「俊二さん」。現在25歳で、社会人経験を経てパイロットを志すようになりました。俊二さんは、日本に限らずアメリカでの挑戦も視野に入れていたため、経験のある先輩方にお話しを聞いて、キャリアプランを立てました。

俊二さん
俊二さん
日本でパイロットとして働くにあたって、大きなポイントって何ですか。
先輩Aさん
先輩Aさん
日本では、一つの航空会社に入社して、そのまま定年まで働くスタイルが主流です。つまり、入社時点である程度”ゴール”が見えている感覚ですね。
俊二さん
俊二さん
なるほど、道筋がはっきりしていて安心感がありますね。では、アメリカで働く場合のポイントは?
先輩Bさん
先輩Bさん
アメリカでは、キャリアを段階的に積み上げていくスタイルです。たとえば、最初は地方の航空会社(リージョナルエアライン)へ入社し、経験を積む。その後、メジャーエアラインであるデルタ航空やユナイテッド航空、アメリカン航空などを目指す流れが一般的です。
俊二さん
俊二さん
なるほど。最初の会社で経験を積むことが要なんですね。自分次第でキャリアを拓いていくところが、アメリカらしいです!

※俊二さんは社会人なので、高校や大学卒業後にパイロットを目指す場合はいくつかのオプションがあります。こちらに掲載の「パイロットへの道のり」を参考にしながら、キャリアパスを作成してみて下さい。

なお、今回用いるキャリアパスは、実際にパイロットとしての経験がある方や、現役のパイロットとして活躍する方々のキャリアパスを参考にしています。
また、キャリアパスはこれ限りではございませんので、参考程度にご覧ください。
それでは、具体的なキャリアパスを見ていきましょう。

日米パイロットのキャリアパス

アメリカでパイロットを目指すために必要なこと

アメリカで働く上で一番のハードルは「就労資格」にあります。
具体的には、グリーンカード(永住権)といった合法的にアメリカで働くための資格が必要です。

そのため、就職活動を始める前に、ご自身の在留資格やビザの可能性について調べておくことが重要です。

スカイクリエーションの卒業生の中には、日本人でCFI(フライトインストラクター)として経験を積み、スカイクリエーションがサポートしたグリーンカードを取得した後、航空会社に就職された方も実際にいます。その方へのインタビュー記事をこちらでご覧いただけます。

つまり、道は確かにあります。
ただし、その道を通るためには時間と戦略が必要です。
アメリカでのキャリアを目指す方は、スカイクリエーションのスタッフにお気軽にご相談ください!

03 給料を日米で比較

こちらは「給料」という視点から見た、単なるデータ比較になります。実際の生活や医療福祉の質、老後の暮らしなどについて保障するものではありません。個人的な意見としては、「Quality Of Life (生活の質)」が大切だと思いますので、どちらの国が良いかはご自身でお決めください。
日米のパイロットの給料を比較

①日本のエアラインパイロットの給料

日本で最も高収入な職業は、なんといってもエアラインパイロットです。厚生労働省が発表した『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、航空機操縦士(パイロット)の平均年収は約1,697万円。これは全職種の中で堂々の第1位となっています。

ただし、この金額はあくまで全体の平均であり、年齢やキャリアによって大きく異なります。たとえば、25歳〜29歳の若手パイロットの平均年収は約700万円。一方で、55歳〜59歳では平均年収が約2,900万円にも達しています。経験年数の積み重ねや、機長への昇格が年収アップに大きく影響していることがわかります。詳しくはこちら
実際の手取りについても触れておくと、年収1,700万円の場合、所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた手取り額は、一般的におよそ1,100万円程度になると推定されています。

②アメリカのエアラインパイロットの給料

一方、アメリカのパイロット事情はどうでしょうか。

米国労働省 労働統計局(Bureau of Labor Statistics)による2024年の統計データによると、アメリカのエアラインパイロットの平均年収は$226,600(約3,399万円)です(※為替レートは1ドル=150円で換算)。

さらに、大手航空会社のキャプテンとして勤務した場合は、年収$330,000(約4,950万円)以上になることも珍しくありません。また、年収$400,000以上(約6,000万円)のパイロットも稀にいるようです。地域や勤務先の規模、乗務機種によっても差がありますが、上級パイロットの待遇は非常に高水準です。情報源はこちらです。

税金を考慮した実際の手取りを見てみると、年収3,400万円の場合、所得税・社会保障費などを差し引いた推定手取りは、一般的におよそ2,300万円前後となります。

③生活コストを考慮して日米を比較

以下のデータは、世界最大級の生活コストに関するデータベースを取り扱うNumbeoから引用したものになります。
一般的に、アメリカの主要都市の生活費は日本の都市部と比べて約1.3倍〜1.6倍程度高いとされています。

🔸生活費(家賃除く):アメリカは日本比で+34.2%(約1.3倍)
🔸生活費+家賃込み:アメリカは日本比で+61.2%(約1.6倍)

ただ、それを踏まえても、手取りベースで比較するとアメリカの方が実質的に高収入になるケースが多いと考えられます。

もちろん、生活費は居住地やライフスタイル、扶養家族の有無などによって変動します。それでも、世界的に見てもパイロットは「高収入の専門職」です。特にアメリカの大手航空会社における待遇は、非常に魅力的なものとなっています。

04まとめ:アメリカでパイロットになることも視野に入れると道が広がる

いかがだったでしょうか。
今回のコラムでは、日本とアメリカのパイロット事情を以下の3つの視点から比べてみました。
1:採用の機会 2:キャリアパス 3:給料の違い

アメリカでのパイロット事情を日本と比較まとめ

それぞれにメリット・デメリットがありますが、「アメリカでパイロットになる」という選択肢も視野に入れると、道が広がるかもしれません。

ご相談・お問い合わせは、スカイクリエーションまでお気軽にどうぞ。

2025年9月27日 訓練説明会 with LUXURY FLIGHT

訓練説明会告知0927
エアラインパイロットを目指す方を対象とした説明会を、9月27日(土)11:00~に開催を予定しております。
場所は、羽田空港@Terminal1 5FのLUXURY FLIGHT羽田本店です。
詳しい開催概要につきましては、追ってご案内させていただきます。
またご参加の皆さまには、模擬フライトも行っていただけます。国土交通省航空局で認定された訓練機シミュレーターを使用して行います。
エアラインパイロットになるにはどんな軌跡を辿るのか、より強くイメージしていただける機会となるかと思います。
どうぞこの機会をお見逃しなく。
※参加費用:15,000円、募集人数6名

ご参加にはお申し込みが必要となります。以下のフォームよりお申し込みください。

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