パイロット不足。なぜ?対策は?徹底解説!

11.10.2025 | コラム

パイロット不足。なぜ?対策は?

みなさま、こんにちは。
スカイクリエーション広報部のREIRAです!

早速ですが、最近みなさんは飛行機に乗る機会はありましたか?

国内・海外ともに、旅行にも行きやすくなりましたよね。

それなのに「パイロット不足って本当に起こっているの?」と思いませんか。

実は私もその一人で、これまで便の変更や遅延に遭遇したことがなく、正直言うとこのような問題を想像したことがありませんでした。

しかし現実には、すでに世界中で「パイロット不足」を原因とした運航トラブルが起こりつつあります。
そして日本でも、その波がもうすぐ来るのではないかと危機感を持っています。
この問題は「パイロット 2030年問題」と呼ばれており、あと5年ほどで深刻化する見通しです。

本コラムでは、パイロット不足によって起こっている事態や、なぜパイロット不足が起こっているのか、そしてその解決への取り組みをご紹介します。

航空業界にご興味ある方は、「今、自分にできること」を考えながら、読んでみてください!

ではいきましょう!

01 世界各国で深刻化するパイロット不足

まずは、「パイロット不足」によって世界各国で何が起きているのかを見ていきましょう。
ここでは、3つの事例をご紹介します。

①アメリカ

コロナ明けの需要急増に対しパイロットの確保が追いつかず、
2022年7月に、ユナイテッド航空がニューアーク国際空港発着の米国内線の便数を1日50便削減
同年9月には、アメリカン航空は4つの地方都市の運航を取りやめました。
(出典:日本経済新聞

②スイス

2025年、スイスインターナショナル航空は5月〜10月の間に約1,400便を減便
同社は、ワークライフバランス志向の高まりや、パンデミックによる訓練の遅れが背景にあると発表しています。(出典:Euronews, 2025年5月)

③オランダ

2025年6月、KLMオランダ航空は、パイロット不足のため夏季の運航規模を縮小
A321neo導入によるパイロットの再訓練や、パートタイム勤務パイロットの増加が要因とされています。
(出典:Simple Flying, 2025年6月)

以上3つの事例を紹介しました。このように、パイロット不足による影響はすでに世界各地で起こりつつあります。

ではなぜパイロット不足になったのか、次の章ではその原因を見ていきましょう。

02 パイロット不足がなぜ起きているのか

前述でも少し触れていますが、大きく4つの理由を挙げてみました。

①航空需要の急増

世界的に旅行がより身近になり、国内・海外問わず航空需要が急速に回復しています。
読者の皆さんの中にも、「最近飛行機に乗った」「これから旅行に行く予定がある」という方も多いのではないでしょうか。

実は今、世界の航空旅行需要は過去最高水準に達しています。IATA(国際航空運送協会)は、2025年には世界全体で約49億8,800万人が航空機を利用する見込みであると発表し、これは過去最多になります。

日本でも、外国人観光客が増えたのを感じますよね。

さらに日本政府の計画として、「2030年までに訪日観光客数6,000万人を達成する」という目標を掲げています。これは現在の1.6倍であり、今後ますますの外国人観光客を呼び込む予定です。

②団塊世代の大量退職

次に大きな要因となっているのが「パイロットの世代交代」です。
2030年前後には、現在55歳以上の団塊世代が定年を迎える時期に入ります。
国土交通省のデータによると、50歳以上のパイロットは全体の約4割(2023年時点)にもなります。この退職の波を補うだけの新しいパイロットがまだ育っていないのが現状です。

③養成が追いつかない現実

パイロット養成には数年の訓練期間と高額の費用が必要です。
国土交通省の資料によると、自社養成の場合には、一人当たり約4,000~5,000万円かかると言われています。かなり高額ですよね。ただしその費用は航空会社が全額負担しているため、訓練生は払う必要がないというのが自社養成の特徴です。しかし、航空会社の業績の影響を大きく受けるため、その養成数にはばらつきが出ます。たとえばコロナ禍の間は訓練が停止・縮小され、新規パイロットの養成が大幅に遅れました。

④個人にとっての費用の高さ

民間のフライトスクールなどでパイロットを目指す場合、おおよそ2,000万円以上の費用が必要です。そのため、あまり現実的ではないと諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、将来の給料水準や「好きなことを仕事にできる」という価値を考えれば、十分に投資に見合う職業でもあると言えます。

▶︎ エアラインパイロットの実際のスケジュールと年収は?以下の記事をご参考ください。

03パイロット不足を解決するための取り組み

最後に、「パイロット不足」を解決するために、日本では何が行われているのかを見ていきましょう。
日本では、空の交通網を支えるために、国土交通省をはじめ航空会社や民間企業が協力しながらさまざまな取り組みを進めています。
その中でも注目されているのが、複雑で時間のかかるパイロット養成の仕組みを見直し、より効率的にライセンスを取得できるようにする制度です。この制度の目的は、質を担保しながら短期間で新規のパイロットを養成するという点にあります。

ここでは、その代表的な取り組みを見ていきましょう。

①国が認めた「指定養成施設」

パイロットになるルートとしては、自社養成、航空大学、私立大学が知られていますが、最近は海外でパイロットライセンスを取得し、日本のライセンスに切り替えるという方法も人気を集めています。日本よりも短期間で訓練できることや、国際感覚や語学力を身に付けやすい点で人気だと言えます。その場合は、日本の乗員養成校と連携して、海外で取得した外国ライセンスを書き換えます。
しかし、このルートを含めても、必要な数のパイロットを確保するにはまだ十分ではありません。そこで国土交通省が導入しているのが、「指定養成施設制度」です。
この制度の特徴は、施設内に国が認めた技能審査員が常駐していることです。
そのため、試験の日程を柔軟に調整でき、スムーズに実地試験を受けられるという利点があります。
では、国土交通省によって「指定養成施設(操縦士課程)」として認められている施設を見ていきましょう。

令和7年度指定養成施設一覧

表の通り、エアライン、私立大学、乗員養成施設を含めても、飛行機免許の養成施設としては10校ほどしかありません。
そこに海外フライトスクールとして、本校がはじめて手を挙げました。
現在、スカイクリエーションの訓練課程としては、日本の乗員養成施設のご協力をいただきながら、事業用操縦士のライセンス取得を目指すプログラムを提供しています。

②スカイクリエーションの新しい挑戦

スカイクリエーションでは、2025年9月に「指定養成施設」としてのテストコースを開始しました。長期にわたるプロセスではありますが、国土交通省の認定を目指して、着実に準備を進めています。

指定養成施設としての認定を受けた場合、アメリカで訓練を受けながら、日本のライセンスである「JCAB操縦技能証明(事業用操縦士証明)」を取得できるようになります。
日本の基準に基づいた高品質な訓練を、アメリカ・ロサンゼルスでより効率的に受けられる新しい環境が整うということです。
スカイクリエーションの新たな挑戦に、どうぞご期待ください。

04まとめ:エアラインパイロットを目指そう!

いかがだったでしょうか。
旅行が好きな方、仕事で全国を飛び回る方、そして日常で通販を利用する方——
私たちの暮らしは、いつも空の交通網によって支えられています。
その空を守るために、今日も多くのパイロットたちが世界の空を飛び続けています。
そして今、国をあげて新たな世代のパイロットを育てる取り組みが始まっています。
もし、あなたが空に憧れたことがあるなら——
今こそ、その一歩を踏み出すときかもしれません。
出てこい、未来のパイロット。

あなたの挑戦を、私たちは心から応援しています。

2025年12月13日(土) 本田航空×SC 合同訓練説明会

12月13日説明会告知

エアラインパイロット養成コース 合同訓練説明会のご案内を致します。当日は、本校担当者よりアメリカでの海外訓練プログラムの概要について説明いたします。本田航空担当者様からは、日本帰国後に実施される国内訓練の詳細について説明いたします。エアラインパイロットを目指している方はもちろん、情報収集をされている方にとっても有意義な機会となるはずです。ご参加には事前お申し込みが必要です。以下の申し込みフォームからお申し込みをお願いいたします。

🔸日時:2025年12月13日(土)13:00~ 🔸会場:羽田空港第一ターミナル5階 LUXURY FLIGHT本店 🔸参加費:無料

お申し込みはこちらから

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